遺伝と環境の話
遺伝の話の続きですが。
遺伝ですべてが決まるのか③(教育で遺伝より大事なこと)
https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12866367407.html
行動遺伝学の本は、抜粋をネット記事で読んだことがあって、著者が科学的な思考があまり出来ていないと感じたので、本は読んでいません。読むとモヤモヤするだろうから。
遺伝と環境の話は、20年くらい前の本である「ヤバい経済学」に書いてあって、10年以上前に読んだのを記憶をもとに確認せずに書きますが(たしか本棚の本の数が多いことと子どもの学力の関係は、因果関係ではなくて相関関係といった項目の話)、
・成人後の知能は、遺伝(生まれつきの遺伝子配列)5割、共有環境(家庭環境)1割、非共有環境(社会環境)4割
・子どもの頃の知能は、環境の影響がやや大きくなる。成長するほど遺伝の影響が大きくなってくる。
・学力も遺伝と環境の影響は似たようなもの。
それと、この本だったか忘れたけど、非認知能力も遺伝と環境の影響割合は似たようなものだったと記憶しています。
ヤバい経済学では、「生まれ持った遺伝子配列の影響が大きいのは事実だけど、遺伝子にあまり恵まれていなくても教育水準が高くて落ち着いた家庭の養子になった子は、遺伝子が予想するよりも恵まれた人生を歩んでいるので、環境も大事だよ」という結びだったと思います。
ちなみにヤバい経済学は、大相撲の八百長の話もあって面白い本です。
なので、行動遺伝学とやらも、正直いまさら感があって読んでないのですが、出てくるデータも似たようなものですね。
知能において、子どもが小さいうちは環境の影響が大きいけど、大きくなると遺伝の影響が大きくなるという現象は、考え方によっては、
「素質がいまいちの子でも、環境の影響が大きいうちに、良い社会環境に身を置けるルートに乗せれば、人生がより良くなる可能性がある」
ことになります。個人的には、小学受験や中学受験の価値は、そこにあると思っています(もちろんコストも伴いますが)。
読み聞かせの影響とかですが、そこまで細かく分析すると、交絡因子の影響を排除しきれずちゃんとデータが出てくるのかな?って気がしますが・・・。もちろん何らかの効果はあるのでしょうけど、その効果の種類が、
(a)健康へのビタミンやミネラルの影響みたいに、不足している場合に充足することで効果を発揮するタイプ。一定量以上摂取しても、さらに健康が増進するわけではない。
(b)スポーツの練習みたいに、週1より週2、週2より週3と練習量が多くなると、(収穫逓減の法則は働くが)効果も増大していくタイプ。
のどちらなのかが不明ですね。(a)タイプだと、読み聞かせ◯万冊とかやっても充足ラインを超えた分については意味がないですし、それどころか機会費用の問題があるので、その時間を他の活動に回したほうがより良い教育を与えられることになります(個人的には、読み聞かせはかなりやりましたし、そのおかげかどうかわかりませんが、娘は本をよく読むようにはなりましたが)。
この効果の種類の考え方は重要で、幼児教育でよく引用されるペリー就学前計画も、介入対象が「低所得層アフリカ系アメリカ人3歳児で、学校教育上の「リスクが高い」と判定された子ども(IQ70~85)」なので、不足分を埋め合わせたことによる効果の影響が大きいと思うんですよね。従って、日本の中流家庭でペリーを真似した教育を頑張ってもあまり意味はないと思っています。
ただ、親が教育放棄をしているような家庭の子は、介入の効果が高いでしょう(というか介入すべきだと思う)。個人的に最近、生活保護家庭の子と関わる機会があって、その子の発達度合いや家庭でどう過ごしているのかを垣間見て衝撃を受けました。その子は知能面ではそこまで悪くない感じはするのですが、躾がまったくされていなくて、非認知能力が壊滅的で、集団で授業を受けられない状態になっていました。集中を続けるのが困難で、少しでも思い通りにいかないとキレてしまうので、普通に遊ぶという行為すら満足に遂行できない状態です。トランプのゲームも知っているのは神経衰弱だけで、ババ抜きすら知らず、親に遊んでもらってなかったのだろうなと不憫になりました。
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