体験格差の記事について

「あの子はディズニーランドに7回も行ってずるい」…体験が多い子どもが幸せだと刷り込む「体験格差」への違和感
https://bunshun.jp/articles/-/78234

ディズニーランドのくだりは、のび太スネ夫レベルの話なので、どうでもいいですね。もっと時代を遡ると、グリム童話なども、物質的な豊かさを幸福とする話が多い。貧しければ死ぬ時代だったから当然と言えば当然ですが。ついでに言えば、童話は身分の高い人は容姿が美しくて心も綺麗という設定の話が多くて、ゴリゴリのルッキズムで面白い。


体験格差の話について。そりゃあ、「風の又三郎」のような世界だったら、子どもを放ったらかしにすれば、群れを作って自然の中で遊び学ぶのだろうけど、現代社会は地域コミュニティが崩壊しているし、都市部にはそのような自然環境が身近にない。

地域コミュニティが崩壊し、親は仕事で忙しいと、子どもの安全を見守る人手が必要になる。昔よりも、子どもの安全に厳しくなっているので、見守りの基準も厳しい。ただ、そのぶん子どもの事故死が減っているのは、良いことだとは思う。子供らだけで川で遊ぶような時代は、溺死などが頻繁に起こっていた。データを探せば出てくるが、昭和の子どもの事故死は今に比べると遥かに多い。良くも悪くも大雑把な時代だった。その時代の価値観に戻ることは、現実的には無理だろう。

子どもの安全を見守る人手を提供するサービス業が出てくるのは当然なわけで、民間業者は消費者である親を惹きつける宣伝文句を考え出す。それが、非認知能力。歪んでいるとは思う。でもまあ、仕方がない。公立の学童と差別化しないといけないから。公立学童は、週5日預けても月に数千円の保育料だからね。「ただ子どもを遊ばせているだけ」だと、民間業者は集客できない。

記事にあるような、無料で利用できる「冒険遊びの場」は、うちの市内にもあって、休日に時折利用させてもらっているけど、運営資金と土地と人手はすべて、(資本主義社会で飯を食っている)有志の提供によるもの。恵まれた立場だから、理想論を吐けるのだと思う。ちなみにうちは子ども一人でいける距離ではないので、平日には利用できない。平日は近所の児童館に子供だけで行くことがあるけど、まあどちらも大人が構築して、大人が見守る人工環境だよね。


親視点だと、公立学童は狭い場所に子どもを押し込めて、何かの収容所みたいになっている場所。うちの市内の公立学童は、平均利用人数と施設底面積のデータを公開していて、もっとも混んでいる学童だと、子ども一人当たりの底面積が0.5平米程度。


じゃあ親が仕事を辞めて、放課後は子ども中心の生活を送ればいいのか? 国民負担率が5割となり、物価上昇が続く令和の時代、親も様々なジレンマに悩んでいる。風の又三郎のような牧歌的な時代は、親は子どもに衣食住を提供するだけで、あとは放ったらかしで良かった。私自身は昭和後期に子供時代を過ごしたけど、親が子どもの遊び相手になるようなことはなかった。保育園の年長頃から近所の友だちと、外で勝手に遊び回っていた。今の時代は、小さな子供らだけでそこらを遊び回るのは難しい。

小学校中学年になると、子供らだけで行動するようになるけど、子どもが寄り集まっているところを観察すると、男子はスイッチを持ち寄ってゲーム、女子はそれぞれが自分のスマホを眺めながらおしゃべり、みたいな状況。どうすりゃいいの。



私の個人的な価値観は記事中の人たちに近くて、それで冒険遊びの場に連れて行ったりしているし、習い事で子どもの時間を埋め尽くすのは子どもの負担が大きいよなあ・・・と心の中では思っているのですが、他の親御さんの価値観の否定はしたくない。自分の価値観が絶対的に正しいとは思っていないのもあるし、他者の価値観の否定は下品だと思うのもある。

人類の歴史を振り返ってみれば、近代化以前は児童労働が当たり前の世界で、貧しければ間引きや身売りもあったし、こどもの自主性や遊びたい気持ちなんて許されない時代だった。絶対的に正しい、ホモ・サピエンスの子育て理論なんて存在しないだろう。それと、うちでは妻が昭和のお父さん並みに仕事しかしないタイプで、私が子育て(赤ちゃんの身の回りのお世話をしながら社会性のある人間にするプロセス)をやってきたから、子育ての大変さを理解している。子どもにあれこれしてやりたくなる親の気持ちはよく分かる。だから他の親の価値観と行動を断罪するようなことは言いたくない。

メディアに出てくるような教育の専門家は、メディアに出たがるくらいだから自己顕示欲が強い仕事人間で、本当の意味での子育てなんてやってきていないだろう。塾講師・家庭教師系の人だと、夜遅くまで仕事をする職業なこともあって、結婚すらしていない人が多い。それだから、容易に他の親の価値観を否定する。(「二月の勝者」が良いのは、問題行動を起こした子と親に赦しと救いがあることなんだよな。作者が子育ての大変さを理解しているからだと思う)


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