地頭論

最近、「うーたんパパ」さんの地頭論を知って、ブログを楽しく読んだのですが、それにインスパイアされて私の考える地頭論を書いてみたい。


□学力は地頭順か

当然、学力に地頭の影響は出る。学校レベルの勉強よりも、中学受験では地頭の影響が出やすい。

中高一貫校は、進学実績を稼げる地頭上位勢を確保するため、地頭が要求される入試問題を出す。入試対策を行う受験塾は、その入試問題を突破するためのカリキュラムや模試を実施する。

従って、中学受験のシステムにおいては、否応なしに地頭によって露骨に差が出るようになっている。

科目による地頭要求度は、「算数>国語>理科=社会」のイメージ。最上位層だと、「算数=国語>理科=社会」かな。オールラウンダーが最難関国立大学の実績を稼げるから、最難関中高一貫校は算国両方とも出来る子を欲しがる。理社も、適性検査寄りの問題になると地頭要求度が上がる。


学年が上がって、問題の抽象度と応用度が上がるほど、偏差値は地頭順になりやすい。ただ、ある程度のブレはある。

イメージとしては、

Y65以上 偏差値出力=地頭±2
Y60-65 偏差値出力=地頭±4
Y50-60 偏差値出力=地頭±6
Y40-50 偏差値出力=地頭±8

みたいな感じで、地頭上位勢ほど地頭通りに偏差値が出力される。地頭上位勢は精神的に成熟していることが多く、自ら効率的に勉強をすることができるため、地頭通りの偏差値になりやすい。

地頭レベルがそれほど高くない場合は、精神的にムラがあり、勉強のやり方もわからないことが多く、周囲の介入余地が大きい。そのため、地頭に対しての偏差値出力の変動幅が大きい。

ただ、全体的に見れば、(小6になれば)偏差値は地頭順にソートされる。

ちなみに私は中学受験エアプなため、想像で書いています。まあある程度は調査をして、そこから考えて書いてますが。大学受験もエアプ。



□地頭は遺伝するか

そもそもの話として、◯◯は遺伝が◯割といった話で出てくる遺伝率について勘違いしている人が多いのですが、こういった研究で調べているのは、能力や性格への「生まれ持った遺伝子配列の影響度合い」であって、「親から子へどれくらい能力や性格が遺伝するか」ではないです。

関連記事:能力や性格の遺伝の話

「親の形質が子どもに受け継がれる」という意味での遺伝なら、地頭は、「ランダム性を伴うがある程度は遺伝する」と言える。

知的能力に関する遺伝子は多数あり、生殖細胞の減数分裂から精子・卵子が作られそれらが出会って受精する時の染色体ガチャで遺伝子がミックスされるため、メンデルの法則的に単純に親の形質が子どもに受け継がれるわけではない。

参考サイト:「知能遺伝子」52個を特定、IQ差の2割を説明 国際研究
https://www.afpbb.com/articles/-/3129212
知能遺伝子をすべて見つけ出すには数百万人分のゲノム(全遺伝情報)を解析する必要があり、これを行うための生のデータと計算機能力はまだ手の届かないところにあると、ポスツマ氏は話す。
そして「知能に関しては、数千の遺伝子が存在する」「われわれは52の最も重要な遺伝子を検出したが、実際にはもっと数多くある」ことを指摘した。



確率的には親の能力値付近の子どもが生まれやすいと考えられるが、親の能力値から離れた子どもが生まれることもある。



□幼児教育により地頭は伸ばせるか

幼児教育に対する私のスタンスは、

正常な発達に必要な刺激が不足している状況で、望ましい幼児教育を与えるなら、地頭にプラスの効果はある。例えば、有名なヘックマンのペリー就学前プロジェクトみたいに、劣悪な環境の子に、正常な発達に必要な刺激を与えた場合は、不足分が埋められるので、地頭にプラスの影響がある。(ペリー就学前プロジェクトではIQの優位性は数年で消えたが、望ましい教育と望ましい家庭環境を続ければ、劣悪な環境に対してのIQの優位性は継続するのではないかと思う)

発達に必要な刺激が足りている状況では、英才教育的な幼児教育をやっても、プラス効果があるかは疑わしい。あってもマージナルな効果しかないだろう。日本の多くの中流家庭では、正常な発達に必要な刺激は与えられている。特に、中学受験をする家庭では幼少時から知育を意識して育ててきただろうから、刺激は足りているだろう。ただ最近は、アッパーミドルの家庭で、物質的には充足されているけど親があまり子育てに関わっていないケース(ネオレグレクト)が散見され、その場合は正常な発達に必要な刺激が足りていないかもしれない。

関連記事:ネオ・ネグレクトの記事を読んだ感想

下図の「地頭」は、生まれつきのポテンシャルに対する達成度。


□幼児教育で伸ばしたい認知能力

一般に言われる「地頭」に言語能力が含まれるのかよくわからないけど、幼児教育で伸ばしたい認知能力は言語能力だと個人的には考えている。「一般知能因子g」が世間でイメージされる地頭に相当すると思われ、その場合、例えば、統語法の理解力といった経路で、一般知能因子は言語能力に影響を与えると考えられるが、そうすると地頭と言語能力は包含関係ではなくて、階層が異なると言える。

関連サイト:一般知能因子「g」とは何者か【未知会ログ】
https://trtmfile.com/2020/03/12/michi-9/

遺伝率の研究では、言語性知能は環境の影響が大きいことが示唆されている。また、結晶性知能は成人以降も向上し続けることから考えてみても、言語能力は可塑性が高いと思われる。そのため、言語能力の向上を幼児期から意識するのは後々大きなリターンをもたらすと考えられる。

関連記事:遺伝率を考えると言語性知能を鍛えるのは狙い目だと思う


ちなみに、論理的推論能力と空間性知能は遺伝率が7割程度と高い。これらの能力が要求される算数の思考系問題やパズル問題は生まれつきの才能次第で、幼児期や低学年に思考系のワークやレゴなどの知育玩具を頑張っても大きく向上することはないだろうと個人的には思っている。マージナルな効果はあるかもしれないが、難関校の複雑な算数問題を誰もが解けるようにはならない。



□地頭の先へ

地頭だけで人生が決まるわけではない。

脳をパソコンに見立てれば、教育による脳のハードウェアの性能向上は見込めなくても、各種のアプリ(スキル)やデータ(知識)をインストールしていけば、出せるパフォーマンスは上がる。

子どもに色々と経験してもらったり、幅広いことに興味を持つようにしてもらったり、勉強を効率良く出来るようになるための土台部分を強化したりすることは意味があるだろう。高性能パソコンも、アプリとデータが入ってなければただの箱だから。

関連記事:勉強以外で幼児期から小学生の時期に重視すること


優先してインストールしたいのは、大人になってからも使えるもの。言語能力や、幅広い知識・教養は、大人になってからも使える。中学受験の範囲だと、国語・理科・社会の内容は大人になってからも使える。

算数の思考系・パズル系は、ほぼ中学受験でしか使えない。学校側が地頭が要求される算数問題を入試で出す意図は、難しい算数問題を解ける子は、難関国立大学と医学部で進学実績を稼げる期待値が高いから。それだけの理由。

中学受験は算数が合否を分けるからと、幼少時から思考系やパズル系の算数対策をしても、あの分野は地頭次第なので、その子の将来に意味があるものにはならないと個人的には考えている。


性格や非認知能力もある程度は生まれつきで、ある程度は環境の影響がある。研究によって異なるけど、だいたい生まれと環境半々かなといったところ。それなりに可塑性があるので、伸ばそうとしたほうが良いと思う。レジリエンスやグリット、良い習慣、礼儀を身につけると、子どもが成長してから正のフィードバックループを回していけるようになる。

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