書籍「科学的根拠で子育て 中室牧子著」
<概略>
・学歴よりも社会人になってからどうなのかが重要。
→(自分コメント)その通りだと思う。受験では近視眼的にならないようにしたい。
・将来の収入を上げるには子どもの頃に何をすればよいのか
→スポーツは、学力や将来の収入に好影響。
→スポーツに取り組むことによる非認知能力向上と、就職時の採用でスポーツ経験が有利になるから。
→(自分コメント)上記の理由に加えて、運動自体がおそらく脳の発達に良い。血行が良くなるとかで。健全な身体に健全な脳みそが宿る。大人も運動で認知機能が改善する。
→リーダーを経験するのもプラス効果が高い。
→難関校にギリ受かった人とギリ落ちた人とでは、学業成績の伸びにほとんど差がない(もちろん平均での話)。大学も同様で、同レベルの大学に入れる人同士なら卒業後の収入に差は無い。難関校が子どもの能力を伸ばすわけではなく、能力の高い子が入ってくるだけ。
→(自分コメント)難関校に入れるレベルになるまで努力したのには意味がある。A判定が出ていたのに第一志望に運悪く落ちてしまったとしても、自分の能力が高まっていれば、将来への影響はほとんど無いと考えよう。
・非認知能力は重要
→非認知能力にも、リーダーシップ、社会性、忍耐力、やり抜く力(グリット)など色々とある。
→非認知能力は、収入、結婚、寿命などに影響。
→社会人における協調性は、アメリカだとマイナスの傾向、日本だとプラスの傾向。文化によって望ましい非認知能力の種類が異なる。
→共通して効果がありそうな非認知能力は、忍耐力、自制心、やり抜く力。
→(自分コメント)忍耐力、自制心、やり抜く力は、学業に本気で取り組むことでも育成できると思う。まあそれ目当てもあって、娘には公文をやってもらっている。学業でなくても、スポーツに真剣に取り組むことでも、これらの非認知能力は高まると思う。ただ、お客様として至れり尽くせりのサービスを受けるだけの習い事をダラダラと続ける、といったようだと、「非認知能力を高める」と謳われることをやっても、非認知能力は伸びないと思う。主体的に、真剣に、継続的に取り組むことが重要だろう。
・非認知能力を伸ばすには
→音楽や美術は非認知能力にプラス。
→好奇心は、学力向上に重要。
→非認知能力を伸ばせる先生がいる。
→どういう先生が非認知能力を伸ばせるのかわかっていない。
→(自分コメント)個人視点だと、学校の先生は選べないしな・・・。好奇心を伸ばすのは、家庭教育でも取り入れられそう。
・子育てへの時間投資
→子どもが小さいうちの時間投資が効果大。
→子どもが大きくなったら、子ども自身による時間投資が重要になる。
→(自分コメント)小さいうちに人間としての土台を作ることで、自分で成長サイクルを回していける子どもに育てたい。主体性、規律、自制心、好奇心などがキーポイントか。
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・勉強が出来ない子を出来る子に変えるには
→目標を立てる、習慣化する(ジム通いの研究、お金で釣るのもありとのこと)、チームで取り組む。
→(自分コメント)大学生を対象とした研究なので、小学生には直接は使えなそう。勉強については、お金で釣るのは個人的にはNG。研究でやっているようなジム通いなら、まあいいと思うが。ジムは、「面倒だったけど行ってみたら楽しい。運動をするとすっきりする」などの感情的な報酬がすぐ得られるので、お金で釣って面倒くささのハードルをクリアするのはアリ。勉強は結果が出るまで時間がかかるから、お金で釣るとお金自体が目的になって、お金という報酬がないと勉強しなくなると思う。
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・第一志望のビリと第二志望の一位
→集団内での順位が高いほうが、自分は勉強が出来るという意識を持てて学力にプラス効果。
→学力の高い人と、学力の低い人を同じグループにすると、学力の低い人の成績に悪影響が出る。
→(自分コメント)現実には、第二志望に行ったら簡単にトップを取れるわけでもなく、(両方とも入れる実力があるのなら)第一志望でも第二志望でも、集団の学力水準に大きな差はない。ただ、志望校の出題傾向にカリカリにチューニングしつつ、学力的に伸び切った状態で受かってしまうと、後が大変になりそうだとは思う。大学(私大)の時のサークルに、開成出身の後輩がいたのだけど、卑屈な感じの性格で歪んでるなあと思ったことがある。東大に入って当たり前、行けないと落ちこぼれ、みたいな価値観になっていたのだろう。ちなみに、二浪して入ったという麻布出身の先輩は鷹揚な性格で大物感があった。
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・別学と共学どちらが良いのか
→研究では、それぞれプラス面、マイナス面あり。
→(自分コメント)国ごとの文化の違い、それぞれの学校の校風と子どもの性格の相性など、個別の要素の影響のほうが大きい感じがするので、研究結果はあまり参考にならなそう。
・男女差
→男子は競争心が強い。
→女子は、男子と同グループだと競争心が低くなる。
→(自分コメント)あくまで平均の話で、個人差が大きいと思う。ただ、異性の子の性格を見る時に、自分の性格の延長で考えない方が良いな思った。
・教育政策の話
→保育園・幼稚園の保育の質は、小学生での学力に影響する。
→保育の質は保護者にはわからない。
→学力重視(読み書き計算の教え込み系)の幼児教育は、小学校入学後にアドバンテージが消える。
→(自分コメント)うちの娘は、0歳から5歳はベネッセで、年長途中からアスクに通ったけど、両方とも保育の質は良かったのではないかと思う。ベネッセのほうが質は良かったかな。ネフの積み木など高品質の玩具が揃っていて、お金をかけているなあ・・・と思った。保育士の給与も、他社より良かったはず。ワンマン経営の保育園に勤めている知人保育士の話だと、その保育所はあまり良くない環境のようで、たまに報道される保育所での大きなトラブル(バス置き去りなど)も、大抵はワンマン経営のところなので、ガバナンス面では大手の保育園を利用するのが良いと思う。
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→善意の教育が悪い結果をもたらすことがある。5-13歳の問題行動を起こす男子を対象に、カウンセラーによる訪問、サマーキャンプへの参加、家庭教師とのマンツーマンでの勉強、定期的な家族会議などの5年間の介入により、子どもたちを正しく導こうとした。当事者の親と本人のプログラムへの満足度は高かった。しかし、30年間の追跡調査の結果、介入を受けたグループのほうが、飲酒量が多く、健康状態が悪く、再犯率が高く、亡くなる年齢が若かった。推測される理由は、介入グループは、外部からの援助に依存するようになった、手厚い援助が受けられて当然だと思うようになった、など。教育の結果は、長期的な視点で見る必要がある。A Thirty-Year Follow-up of Treatment Effects
→(自分コメント)大人が「正しい教育」を押し付け、その時に本人が満足しているように見えても、自主性や主体性が無い状態では良い結果にならないのかもしれない。援助に依存させてもいけない。
・エビデンスはいつも正しいのか
→エビデンスの強さには階層がある。
→(自分コメント)根拠に基づく医療(Evidence-Based Medicine)と同じような話。
→エビデンスは、判断を助ける補助ツール。
→エビデンスは、覆ることがある。研究は再現されないことも多い。
→(自分コメント)心理学における再現性の危機は6年くらい前に話題になっていたので知っていたけど、カーネマンの研究の多くが再現されなかったことや、ダン・アリエリーの研究のデータ改ざん疑惑の話は知らなかったので、びっくりした。行動経済学に興味が合った時に、カーネマンとダン・アリエリーの著作を読んだことがあって、面白いなと思っていたのだが。
<感想>
本にも書かれているが、研究結果はあくまで平均値の話。
偏差値が1上がったとかの研究だと、標準偏差はどれくらい?有意差あるの?って思うものもある。この程度の変化で結論を出すのは大げさでは?と思うものもある。ただそれは、多くの論文を読んだ著者の考え方の方向性にマッチしていて、効果がありそうだということを伝えるためにそうしているのだと思う。
エビデンスを現実世界に活かそうとする場合、細かいことを言い出すときりが無い。測定項目の範囲と現実への応用性、測定精度の限界、個人差とばらつき、特定の被験者(国、人種、年齢、性別、社会階層など)の結果は、自分の目の前の人に適用できるのか、など。
エビデンスの結果を表層的に現実世界に適用すると、ズレが大きくなり、あまり良い効果が得られない。エビデンスの根底にあるメカニズムを推測し、経験則や原理・原則から逸脱していないかを考えて(専門家の知見もエビデンスの一つ)、ある程度の「仮説に基づいたストーリー」を作らないと、エビデンスを現実世界に使えない。もちろんそうすることで、筆者の主張や価値観に合致するストーリーを作り上げ、それを補強する研究をチェリーピックするリスクもある。
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他には、教育分野のエビデンスを見る時には、どのような状態での教育なのかを意識したほうが良い。
- 足りないものを埋めた教育。例えば、貧困家庭でネグレクト気味の子に、非認知能力を伸ばす教育を施した(有名なヘックマンの就学前介入実験)。
- 満ち足りた環境でさらに子どもを伸ばす教育。例えば、親が十分な環境を与えている中流家庭の子に英才教育を施した。
国の教育政策としては前者が重要なのだけど、教育熱心な御家庭にとっては後者が重要。調べたことがあるけど、後者についてはほとんど研究が無い(社会的に重要でないから当然)。ただ、教育熱心な場合に「避けた方が良い」教育は、割とはっきりしていると思う。愛着形成を蔑ろにする、幼児期からトップダウンでの学力訓練をする、結果に対して賞罰を与える、子どもに劣等感を抱かせる、過干渉で子どもの主体性を奪う、などの行為は避けたほうが良い。

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